シロホトトギス(栽培品)2014
シロホトトギス
白杜鵑草 ユリ科ホトトギス属
今年もシロホトトギスが咲きました。
この花については既に2009年に「シロホトトギス」として記事にしました。
しかしその後は花は咲いても葉がルリタテハの幼虫に食べられたり、褐色になったりしてあまり写真を撮る気になりませんでした.
今年はまだ何とか葉が残っています。
日陰の花の撮影は苦手ですが、もう一度シロホトトギスに接近してみましょう。

ホトトギス属は日本に13種が確認され、うち10種は日本だけに生育する固有種だそうです。
しかし、自生地が限定され絶滅が危惧されている種も多くあります。
このうち代表種のホトトギス Tricyrtis hirta (Thunb.) Hook は関東・新潟県以西に分布。
シロホトトギスはホトトギスの花に斑点が入らない変種です。
葉腋に 1-3個ずつ、直径約4cmの白い花が上向きに咲きます。

花弁は巾が広い外花被片3枚と、巾が狭い内花被片3枚の計6枚。
黄色の斑点は蜜標です。

雌しべの花柱の周りに雄しべの花糸6本が密着して伸び、上方で放射状に広がります。
花柱は3裂しさらに先端で2裂するため柱頭は6個。
花柱に並んだ水滴のようなぶつぶつは腺毛状突起と呼ばれます。

腺毛状突起は花柱の両外側に並んでいますが、先端の柱頭部にはありません。
真珠の首飾りのように見えますね。
粘着性はなく触れてもベトベトしません。
ホトトギスには何のためにこの突起があるのか、まだわかっていないようです。
昆虫を柱頭に導く誘導灯のようなものでしょうか?
でも残念ながら腺毛状突起の上にいる昆虫を見たことはありません。

では、腺毛状突起はいつできるのでしょう?
偶々葯が飛び出した蕾から未開の花柱が見えていました。
そこにはもう腺毛状突起も出来ていましたから、開花前に形成されるのでしょう。

それではいつ消えるのでしょう?
3裂した花柱がくるんと弯曲し、葯も退縮する頃になっても突起はまだまだ健在でした。

既に子房が膨らんでいても雌しべは彎曲せず伸びたままのこともよくあります。
突起は少なくはなっているもののまだかなり残っています。

果実がさらに大きくなった頃、雌しべ全体の退縮と共に突起も萎んでいきます。

昨年から葯が紅いホトトギスが加わりました。Iさんからいただいた株です。
咲き初めのふっくらした紅い葯がとても美しく新鮮です。
大粒の真珠のような腺毛状突起もより引き立って見えます。

花粉が出て葯はだんだん縮んでいきます。
この花は「白楽天」という園芸品種だろうと思います。
葯の色は淡桃色から薄紫色までいろいろあるようです。

時々ホシホウジャクがやってきましたが、シロホトトギスの花を訪れる昆虫はあまり見られません。
けれども殆どの花が実を結んでいるのは自家受粉が多いのでしょう。

5年前にシロホトトギスについて書いた時も腺毛状突起が気になっていました。
これについては今なお新知見が得られませんでした。
顕微鏡でも覗いてみましたが、やはり実体顕微鏡でないと無理でした。
白杜鵑草 ユリ科ホトトギス属
今年もシロホトトギスが咲きました。
この花については既に2009年に「シロホトトギス」として記事にしました。
しかしその後は花は咲いても葉がルリタテハの幼虫に食べられたり、褐色になったりしてあまり写真を撮る気になりませんでした.
今年はまだ何とか葉が残っています。
日陰の花の撮影は苦手ですが、もう一度シロホトトギスに接近してみましょう。

ホトトギス属は日本に13種が確認され、うち10種は日本だけに生育する固有種だそうです。
しかし、自生地が限定され絶滅が危惧されている種も多くあります。
このうち代表種のホトトギス Tricyrtis hirta (Thunb.) Hook は関東・新潟県以西に分布。
シロホトトギスはホトトギスの花に斑点が入らない変種です。
葉腋に 1-3個ずつ、直径約4cmの白い花が上向きに咲きます。

花弁は巾が広い外花被片3枚と、巾が狭い内花被片3枚の計6枚。
黄色の斑点は蜜標です。

雌しべの花柱の周りに雄しべの花糸6本が密着して伸び、上方で放射状に広がります。
花柱は3裂しさらに先端で2裂するため柱頭は6個。
花柱に並んだ水滴のようなぶつぶつは腺毛状突起と呼ばれます。

腺毛状突起は花柱の両外側に並んでいますが、先端の柱頭部にはありません。
真珠の首飾りのように見えますね。
粘着性はなく触れてもベトベトしません。
ホトトギスには何のためにこの突起があるのか、まだわかっていないようです。
昆虫を柱頭に導く誘導灯のようなものでしょうか?
でも残念ながら腺毛状突起の上にいる昆虫を見たことはありません。

では、腺毛状突起はいつできるのでしょう?
偶々葯が飛び出した蕾から未開の花柱が見えていました。
そこにはもう腺毛状突起も出来ていましたから、開花前に形成されるのでしょう。

それではいつ消えるのでしょう?
3裂した花柱がくるんと弯曲し、葯も退縮する頃になっても突起はまだまだ健在でした。

既に子房が膨らんでいても雌しべは彎曲せず伸びたままのこともよくあります。
突起は少なくはなっているもののまだかなり残っています。

果実がさらに大きくなった頃、雌しべ全体の退縮と共に突起も萎んでいきます。

昨年から葯が紅いホトトギスが加わりました。Iさんからいただいた株です。
咲き初めのふっくらした紅い葯がとても美しく新鮮です。
大粒の真珠のような腺毛状突起もより引き立って見えます。

花粉が出て葯はだんだん縮んでいきます。
この花は「白楽天」という園芸品種だろうと思います。
葯の色は淡桃色から薄紫色までいろいろあるようです。

時々ホシホウジャクがやってきましたが、シロホトトギスの花を訪れる昆虫はあまり見られません。
けれども殆どの花が実を結んでいるのは自家受粉が多いのでしょう。

5年前にシロホトトギスについて書いた時も腺毛状突起が気になっていました。
これについては今なお新知見が得られませんでした。
顕微鏡でも覗いてみましたが、やはり実体顕微鏡でないと無理でした。
この記事へのコメント
腺毛状突起は触ってもべとべとしないのですね
べたつくものとばかり思っていました。
真珠のような高級な水晶のようでもあるしアクセサリーにしたいくらいの粒粒ですね
なにか目的があってそうなっているのでしょうけれど見当もつきません。
ホトトギスも雄しべが先に熟すのですね!
ルリタテハの幼虫はやってこなかったのでしょうか・・・
派手派手で成虫の美しさからかけ離れているのでびっくりしました。
腺毛状突起はホトトギスの品種によって透明だったり、琥珀色だったり、また球形に近かったり、首が長かったりいろいろです。
私はこの中ではやりシロホトトギスの突起が一番好きです。
ホトトギスもやはり雄性先熟で、もう蕾の中で既に花粉を出し始めるようです。
ルリタテハの幼虫も毎年現れます。
初めてこれを見たときは私も奇怪な姿に大びっくりしました。
でも飼育してあの美しいルリタテハの成虫も見て、ブログに残しましたよ(笑)。
シロホトトギスはもう野草として見ることはむつかしいのでしょうね。
私も初めはホトトギスの花から斑点を除いても純白にはならないのではと思いました。
突然変異で色素が発現できなくなれば白花になるのですね。
ホトトギスとタイワンホトトギスの組み合わせでいろんな園芸品種ができているようです(桃山、桃源、明星、紫光、紫錦、江戸の花などなど)。
水滴のような線毛状突起、今年も見逃しました。もう種ばかりになってしまっています。
真っ白な花は秋の庭に目立ちます。黄色い蜜標がとても目立っていても昆虫はあまり来ないのも不思議です。葉は丸坊主にされてしまうことが多いですが。
そう、ルリタテハの幼虫のあの驚きの姿にびっくりしながら、夕菅さんに教わったように、飼育箱に入れて、、、、。美しい蝶の姿で空を飛び立ったことは感動でした。
シロホトトギスは5年前に書いたからもういいと思って、近年は注視していなかったのですが、今年は白い花が輝かしく見えて再登場となりました。
腺毛状突起も光線の具合や撮影方法によってもっと美しく撮れると思います。
また来年のお楽しみに。
ルリタテハの幼虫の飼育、おっかなびっくりでしたが楽しい思い出になりましたね。
白いホトトギスがあるんですか。
初めて見ました。
腺毛状突起の観察もすごいですね。
たいへん勉強になりました。
うちのシロホトトギスはもちろん園芸店から購入した苗です。
今はもう山路でシロホトトギスに出会うことはないでしょうが、園芸品種としてではなくホトトギスの変種として認められたのは、自生種があったからなんでしょうね。
腺毛状突起はそれぞれの品種によってやや異なりますので面白いと思います。
今年は花友だちの所でも綺麗だということで、気候がよかったのでしょうね。
ホトトギスの葉は傷みやすいのが難点で、見苦しいほどになるのですが、花が咲くと風情がありますね。
花のアップが見えて、いい勉強になりました!
今年のシロホトトギスはどこもきれいだったのですか。
葉が傷んでいると、人の目で見るとまあまあきれいでも、カメラを通すと汚い所が強調されて見られなくなってしまいますね。
園芸種(桃山・蒼龍・紫光?)も少し増えてきましたので楽しみです。
この辺りの公園ではホトトギスの中でも最も繁殖力の強いタイワンホトトギスばかり繁茂しているようです。
お庭に植えられるならシロホトトギスや園芸種のホトトギスの方が風情があっていいかと思います。
中でも「白楽天」は雄しべの色が目立って老眼鏡無しでも楽しめそうですよ。